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「セカキュー日誌(其の8)」(2007/03/28 (水) 04:13:56) の最新版変更点
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タイトル:「桃色の縄師」
アークマロの一件ですっかりリズムを狂わされたかというとそうではない。殴りメディックの都市伝説をキリコも知っており、ただ、育成プランにおいては回復を優先させただけだと後で言っていた。ホントかなぁ。
レンとツスクルの二人をみて、まだ知らない職業種もあるのね、いずれ仲間にしたいわぁ~とか言っている。それには僕にも同感だ。特にツスクルさん。第三階層の小部屋で傷ついた僕らに手縫いと思われるシュールなウサギ人形を抱えながら、じょうろで僕たちの頭の上に「育て~育て~」と念を込めながら回復の泉の水をかけてくれる。謎だ。
さて、ツスクルさんのおせわになりつつも第四階層。
f.o.eのフォレストウルフが入り口付近に大量にひしめき合っていたが、一匹ずつ釣って殴り倒す。多数対少数だと確実に不利と僕らは学んだので、なるべく敵をおびき寄せて迎え撃つ。
卑怯に見えるが戦術とはそういうもんだ。
かくして、第四階層は苦しいなりに一度も全滅することなく制覇した記念すべき最初の階になった。
そして第五階層。
悪寒が背筋を這い上がってくる。
狼たちの獣臭い臭気が漂いむせ返る。鼻の敏感なミュウがくしゃみを連発して注意されてる。注意ったって出るときゃ出ますって、キリコさん。
さっそく、世界樹地図上にf.o.eのしるしが浮かぶ。それも多数。四階層で同現象が起こったので、見間違いではない。ふざけた数のf.o.eが間近に潜んでいるのだ。そいつらをスノーウルフというからにはスノードリフトの取り巻きなんだろう。一匹ずつ補足しては殴り倒していく。2,3匹倒すと、
「ツスクルすぁ~んっ!」
と三階層へと駆け上がり、育ち水をかけてもらう。
そして、
黒いf.o.e
明らかにこれまでのf.o.eとは気配が違う。
「あれ、虎よね」
「あー、虎だ」
「マスター、虎の定義入力してください」
「シベリアで見たサーベルタイガーがあんな感じだったかのう」
「お約束はいいから!」
縦幅も横幅も遠近感が狂ったかと思えるほどの巨魁。
ライオンのたてがみと鋭く突き出た二本の牙。悪意の塊のような瞳が僕らを射抜く。それだけでも萎縮しそうな勢いだ。怖い。スノードリフト。
でも……こいつを倒せばミッションクリアだ!
「よーしいっちょやるかぁ!」キリコが景気づけの雄たけびを上げる。悲壮な顔は誰もしていない。やれる。
僕はアスピスを構え、防御陣形を展開する。アンジェーがヘッドボンテージで頭を縛りあげている。成功!
アクマロが医療防御を発動し、ミュウが聖なる守護の舞曲を舞い、防御力に更なる支援を追加する。そしてキリコの雷撃の術式。
最初にアンジェーのヘッドボンテージが決まったおかげで、事前に聞いていた「凍てつく牙」も「恐怖の咆哮」も出してこない。ただ……硬い。僕はフロントガードで前衛をガードしつつ、ミュウから火劇の序曲でボアスピアソードに火力付与をもらい殴りつける。氷には火を。アンジェーはアームボンテージを発動させ、スノードリフトの腕を縛りあげた。グーッド!
アクマロが様子を見つつエリアキュアで一斉に僕らを回復させ、再びキリコの雷撃の術式が炸裂。ふと横を見るといつもは冷静なアンジェーの顔にかすかな笑みとも取れる表情が浮かんでいる。僕は不思議に思いつつも火力付与を受けた剣でスノードリフトを殴りつけていく。
アンジェーが舞うようにレッグボンテージを決める。一撃!
嗚呼、分かった。アンジェーは必殺技を繰り出そうとしているのだ。雑魚的相手では悠長に出せない技をこの場でテスト無しの実践投入しようとしている。
「キリコさん!」
「分かってる! アラト君はフロントガードで援護!」
「アクマロはアンジェーのHPに注意して」
「ミュウ姐さんはそのまま歌ってて!」
そして、
ゴシック調のボンテージスーツが宙を舞う。
桃色の巻き髪がふわりを風に乗り、流麗に流れる。
スノードリフトは全身を縛られ、もはや自由に動くこともままならない。単なるどでかいだけの狼に過ぎない。
ネイルウィップが最期のラストボンテージを決めるべく意志を持つ蛇のように宙を這う。アンジェーの顔に笑みが浮かぶ。
淫蕩な笑みだ。内なる女王が目覚めた瞬間だ。
「エクスタシー!」
鞭先が無数に分裂したかと思うほどの錯覚を起こす、それはスノードリフトの全身を緊縛し、一ひねりで全身の骨を砕き潰した。それはスノードリフトの絶命も意味していた。
アンジェーが華麗に舞い降り立つ。そしてキリコに向かって一礼する。「終わりました。マスター」
アンジェーに駆け寄ったキリコが頬擦りをする、別段珍しい光景でもないのだが、このときのアンジェーが何だか嬉しそうに見えた。ひとしきりアンジェーを可愛がった後、
「さて行きましょっか」
キリコが指差す。
第六階層への階段が見えていた。
気分が高揚している。
僕らは足取りも軽くようようと降りていった。第四階層、第五階層ともに全滅しなかったのだ。確実に強くなっている自分を実感する瞬間だった。
(続く)
パラディン:アラト:LV25
ダークハンター:アンジェー:LV25
メディック:アクマロ:LV24
アルケミスト:キリコ:LV25
バード:ミュウ:LV25
タイトル:「桃色の縄師」
アークマロの一件ですっかりリズムを狂わされたかというとそうではない。殴りメディックの都市伝説をキリコも知っており、ただ、育成プランにおいては回復を優先させただけだと後で言っていた。ホントかなぁ。
レンとツスクルの二人をみて、まだ知らない職業種もあるのね、いずれ仲間にしたいわぁ~とか言っている。それには僕にも同感だ。特にツスクルさん。第三階層の小部屋で傷ついた僕らに手縫いと思われるシュールなウサギ人形を抱えながら、じょうろで僕たちの頭の上に「育て~育て~」と念を込めながら回復の泉の水をかけてくれる。謎だ。
さて、ツスクルさんのおせわになりつつも第四階層。
f.o.eのフォレストウルフが入り口付近に大量にひしめき合っていたが、一匹ずつ釣って殴り倒す。多数対少数だと確実に不利と僕らは学んだので、なるべく敵をおびき寄せて迎え撃つ。
卑怯に見えるが戦術とはそういうもんだ。
かくして、第四階層は苦しいなりに一度も全滅することなく制覇した記念すべき最初の階になった。
そして第五階層。
悪寒が背筋を這い上がってくる。
狼たちの獣臭い臭気が漂いむせ返る。鼻の敏感なミュウがくしゃみを連発して注意されてる。注意ったって出るときゃ出ますって、キリコさん。
さっそく、世界樹地図上にf.o.eのしるしが浮かぶ。それも多数。四階層で同現象が起こったので、見間違いではない。ふざけた数のf.o.eが間近に潜んでいるのだ。そいつらをスノーウルフというからにはスノードリフトの取り巻きなんだろう。一匹ずつ補足しては殴り倒していく。2,3匹倒すと、
「ツスクルすぁ~んっ!」
と三階層へと駆け上がり、育ち水をかけてもらう。
そして、
黒いf.o.e
明らかにこれまでのf.o.eとは気配が違う。
「あれ、虎よね」
「あー、虎だ」
「マスター、虎の定義入力してください」
「シベリアで見たサーベルタイガーがあんな感じだったかのう」
「お約束はいいから!」
縦幅も横幅も遠近感が狂ったかと思えるほどの巨魁。
ライオンのたてがみと鋭く突き出た二本の牙。悪意の塊のような瞳が僕らを射抜く。それだけでも萎縮しそうな勢いだ。怖い。スノードリフト。
でも……こいつを倒せばミッションクリアだ!
「よーしいっちょやるかぁ!」キリコが景気づけの雄たけびを上げる。悲壮な顔は誰もしていない。やれる。
僕はアスピスを構え、防御陣形を展開する。アンジェーがヘッドボンテージで頭を縛りあげている。成功!
アクマロが医療防御を発動し、ミュウが聖なる守護の舞曲を舞い、防御力に更なる支援を追加する。そしてキリコの雷撃の術式。
最初にアンジェーのヘッドボンテージが決まったおかげで、事前に聞いていた「凍てつく牙」も「恐怖の咆哮」も出してこない。ただ……硬い。僕はフロントガードで前衛をガードしつつ、ミュウから火劇の序曲でボアスピアソードに火力付与をもらい殴りつける。氷には火を。アンジェーはアームボンテージを発動させ、スノードリフトの腕を縛りあげた。グーッド!
アクマロが様子を見つつエリアキュアで一斉に僕らを回復させ、再びキリコの雷撃の術式が炸裂。ふと横を見るといつもは冷静なアンジェーの顔にかすかな笑みとも取れる表情が浮かんでいる。僕は不思議に思いつつも火力付与を受けた剣でスノードリフトを殴りつけていく。
アンジェーが舞うようにレッグボンテージを決める。一撃!
嗚呼、分かった。アンジェーは必殺技を繰り出そうとしているのだ。雑魚的相手では悠長に出せない技をこの場でテスト無しの実践投入しようとしている。
「キリコさん!」
「分かってる! アラト君はフロントガードで援護!」
「アクマロはアンジェーのHPに注意して」
「ミュウ姐さんはそのまま歌ってて!」
そして、
ゴシック調のボンテージスーツが宙を舞う。
桃色の巻き髪がふわりを風に乗り、流麗に流れる。
スノードリフトは全身を縛られ、もはや自由に動くこともままならない。単なるどでかいだけの狼に過ぎない。
ネイルウィップが最期のラストボンテージを決めるべく意志を持つ蛇のように宙を這う。アンジェーの顔に笑みが浮かぶ。
淫蕩な笑みだ。内なる女王が目覚めた瞬間だ。
「エクスタシー!」
鞭先が無数に分裂したかと思うほどの錯覚を起こす、それはスノードリフトの全身を緊縛し、一ひねりで全身の骨を砕き潰した。それはスノードリフトの絶命も意味していた。
アンジェーが華麗に舞い降り立つ。そしてキリコに向かって一礼する。「終わりました。マスター」
アンジェーに駆け寄ったキリコが頬擦りをする、別段珍しい光景でもないのだが、このときのアンジェーが何だか嬉しそうに見えた。ひとしきりアンジェーを可愛がった後、
「さて行きましょっか」
キリコが指差す。
第六階層への階段が見えていた。
気分が高揚している。
僕らは足取りも軽くようようと降りていった。第四階層、第五階層ともに全滅しなかったのだ。確実に強くなっている自分を実感する瞬間だった。
(続く)
パラディン:アラト:LV25
ダークハンター:アンジェー:LV25
メディック:アクマロ:LV24
アルケミスト:キリコ:LV25
バード:ミュウ:LV25
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