神無樹祐
まだ幼さの残る少年。体を動かす度に薄墨色の制服の背で首元で結んだ腰まである長い髪が後を追って揺れる。極々何処にでもいるような高校生に見えた。
ただ、奇妙な所があるとすれば、少年の左目が固く閉じられている事。見たところ、閉じられた左目に傷があるようにも見えず、しかし慣れているのか少年の動きに迷いはない。そうである事が普通であるかに振舞っている。
ただ、奇妙な所があるとすれば、少年の左目が固く閉じられている事。見たところ、閉じられた左目に傷があるようにも見えず、しかし慣れているのか少年の動きに迷いはない。そうである事が普通であるかに振舞っている。
神無樹の血に連なるものは等しく体のどこかに徴を持つ。一筋紅い髪、あるいは紅い痣、あるいは紅い瞳。それは妖かしを狩る力の証であり、同じく妖かしを引き寄せる標でもある。中でも神無樹の直系は瞳に徴を持つ例が多く、『視』る事に長ける。その紅き瞳はこの世ならざるものさえも見通す。
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