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「腕部出力、限定解除!……発動!『アームバースト』ォオ!!」 パスワードを音声入力。 入力手段が戦場の騒音で不確実になると言うやつ(具体的には俺の相棒だ)もいるが、俺はやはりコイツ に限る。 気合の入り方がまるで違うのだ。 キュゴォォォォォォォォォォ!!!  リミッターを解除されたサイバーウェアが、雄叫びのような起動音と共に爆発的な出力を生み出す!  圧倒的な出力を、研ぎ澄まされた技で完全な制御下に置いた一撃は、数トンに及ぼうかという敵の巨 体を支える脚部に命中し、地面に叩き伏せる。  俺は素早く敵の頭部に駆け寄ると、  ガンッ! ガッ! ガッ! ザンッ!    倒れた敵に剣を打ち込み、とどめをさす。  一撃では不充分。確実を期して四連。  鼻の骨を叩き折り、両のこめかみを突く、そして最後に大上段から脳天に振り下ろし。  連撃すれば斬撃回数に比例して刃筋は乱れようとする。  柄をきつく握り締めた左手に右手を添えてそのブレを抑える。  一瞬の間。  最後の一撃を叩き込まれ、敵の動きは停止しているが残心。  周囲に軽く視線を飛ばして警戒した後、ゆっくりと近寄りながら、視線を敵の上に落とす。  今回の敵はしぶとい。気を抜けば背中を襲われる。確実に殺さなければいけない。  既定時間の経過および敵の完全停止をサイバーアイの表示で確認。  どうやら完全に死んでいるようだ。 「は、ひゅうぅ、かはぁ…!」  理解すると同時に深く息をつく。  どうやら、知らず知らずのうちに息を詰めていたようだ。  苦笑したと同時に背後の気配に気付いた。 「戦いの間は呼吸を止めるな。  呼気を乱すとリズムが崩れるぞ」  あわてて振り向いたところに、相棒の聞きなれた声がかけられた。 「気をつけるよ。……そっちもしとめたのか?」 「あぁ」  俺たちは、砕けた瓦礫を踏み越えて高台に出た。  ひび割れた地面に敵影はない。振り仰げば、見覚えの無い、けれどどこかで見たような看板が、飴のよう にねじれたまま壁に張り付いている。  遠くから戦場音楽が聞こえてくる。 「向こうか。…行くぞ」 「りょーかい。ったく、キリがねぇな」  俺達の戦いは、続いている。 (書:不破陽多)
「腕部出力、限定解除!……発動!『アームバースト』ォオ!!」 パスワードを音声入力。 入力手段が戦場の騒音で不確実になると言うやつ(具体的には俺の相棒だ)もいるが、俺はやはりコイツに限る。 気合の入り方がまるで違うのだ。 キュゴォォォォォォォォォォ!!!  リミッターを解除されたサイバーウェアが、雄叫びのような起動音と共に爆発的な出力を生み出す!  圧倒的な出力を、研ぎ澄まされた技で完全な制御下に置いた一撃は、敵の巨体を支える脚部に命中し、地面に叩き伏せる。  俺は素早く敵の頭部に駆け寄ると、  ガンッ! ガッ! ガッ! ザンッ!    倒れた敵に剣を打ち込み、とどめをさす。  一撃では不充分。確実を期して四連。  鼻の部分の芯を叩き折り、両のこめかみを突く、そして最後に大上段から脳天に振り下ろし。  連撃すれば斬撃回数に比例して刃筋は乱れようとする。  柄をきつく握り締めた左手に右手を添えてそのブレを抑える。  一瞬の間。  最後の一撃を叩き込まれ、敵の動きは停止しているが残心。  周囲に軽く視線を飛ばして警戒した後、ゆっくりと近寄りながら、視線を敵の上に落とす。  今回の敵はしぶとい。気を抜けば背中を襲われる。確実に殺さなければいけない。  既定時間の経過および敵の完全停止をサイバーアイの表示で確認。  どうやら完全に死んでいるようだ。 「は、ひゅうぅ、かはぁ…!」  理解すると同時に深く息をつく。  どうやら、知らず知らずのうちに息を詰めていたようだ。  苦笑したと同時に背後の気配に気付いた。 「戦いの間は呼吸を止めるな。  呼気を乱すとリズムが崩れるぞ」  あわてて振り向いたところに、相棒の聞きなれた声がかけられた。 「気をつけるよ。……そっちもしとめたのか?」 「あぁ」  俺たちは、砕けた瓦礫を踏み越えて高台に出た。  ひび割れた地面に敵影はない。振り仰げば、見覚えの無い、けれどどこかで見たような看板が、飴のようにねじれたまま焼け焦げたビルの壁に張り付いている。  遠くから戦場音楽が聞こえてくる。 「向こうか。…行くぞ」 「りょーかい。ったく、キリがねぇな」  俺達の戦いは、続いている。 (書:不破陽多)

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