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鬼切り

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越前藩国の財政が常に崖っぷち、いわばオンザエッジである事は藩主のみならず、国民にとっても周知の事実である。
だが、周辺国家から身を守る為には常備軍を置くにせよ、必要に応じて徴兵をするにせよ纏まった数の武器を揃える必要が存在した。
当然ながら財政は常に崖っぷちなので、これに貴重なわんわんを使う訳にはいかない。
かくて、当時の軍部に対し、藩主よりとんでもない命が下った。

「一切わんわんを使う事無く、全ての兵士に行き渡らせる事が出来る携行兵器を開発せよ。出来なかったら死刑」

この命を受けた当時の吏族はとりあえず自分の頬を10回程抓った後、泣きながら自宅に帰り、ヤケ酒を浴びる程呑み、翌日出勤すると1日中公衆トイレを占拠し、周辺の住民達に莫大な精神的損害を与えた事は今でも藩の記録に残る珍事である。

話を戻そう。

トイレから出てきた吏族は、涙を浮かべながらトイレに飛び込んでいく周辺住民達を見ながらある事を思いついた。
そうだ、この国にはわんわんは無くとも、優れた肉体能力を持つサイバー農民達と、豊富に生産される米があるではないか!
これが越前藩国の歴史に残る携行兵器の原型が生まれた瞬間である。

吏族はまず、越前藩国で生産される米と、農民達について改めて調査を開始した。越前藩国に自生する稲は、散弾米を初めとする特殊な物を実らせる稲が多く、その中に“鋼米”と呼称される物を実らせる稲も存在した。
“鋼米”とは炊いて後、普通に口に入れればとろけるように柔らかく、味も申し分無い物であるが、迂闊に汗を加えてしまうと化学反応を起こし、瞬く間にそれこそ鋼のように硬くなってしまうという米である。吏族はこれに目をつけた。

“鋼米”を携行させ、戦場で即座に汗を加えてやればこれは立派な銃弾である。ではそれを放つ銃の代わりとなる物は何か、サイバー農民の手である。
それに気づいた時、吏族の目が輝いた。この時、新たな携行兵器が完成したのである。

後日、サイバー農民の手で硬く硬く握られ、その腕力を持って投げられた“鋼米”の塊は易々と100m先の的を貫き、これを見た藩主は至極満足し、吏族は自分の首がつながった事に胸を撫で下ろした。

この携行兵器は安価(何しろ米は幾らでも余っているのだ)であるのみならず、汗さえつけなければ食料となる“鋼米”である事から、食料としても使用する事が出来、更には銃にありがちな暴発の危険性も存在しない(米だし)非常に優れた携行兵器であった。
藩主はこの武器に自国に伝わる故事に準えて“鬼斬り”と名づけるに至った。
以下にその故事の記事を引用する。

アル時、越前ノ国ニ鬼来タリテ人ヲ良ク喰ウ。
藩主、コレヲ憂ヒテ、己ガ手デ握リヲコシラヘ、コレヲ捧ゲル。
鬼、コレヲ喰ライテ、人ヨリ美味シ、サスレバコレヲ捧ゲレバ人ハ襲ワヌト言フ。
ソノ言葉ヲ聞キシ藩主、握リヲ遠方ヘト投ゲ、鬼ガソレニ気ヲ取ラレタ隙ニコレヲ刀デ斬ル。
鬼、ソノ一撃デ首ヲ失ヒ、斃レル。
以後、越前ヲ鬼ガ襲ウ事無ク、民、越前藩主ヲ“真ノ卑怯者ナリキ”ト褒メ称エル。
卑怯ト謗ラレテモ、民ノ命ヲ守ル。コレゾ越前藩主ノ心意気デアル。
――越前書房『世界卑怯者列伝 12巻 ~ブルータス、良くやった~』 より

以後、“鬼斬り”は越前藩国兵士の携行兵器として採用され、“散弾米”を内部に仕込む事により、投擲後爆発し、周辺に鋼米を撒き散らす“御火火握り”、地面に埋める事によって、地雷としても役立つ“埋め握り”、アルコール度を極限まで高め、炸薬と共に用いる事で落下場所周辺で燃焼し続ける“紅酒握り”など様々なバリエーションが開発され続けている。
だが、我々は忘れてはならない。
この偉大なる兵器の開発の裏にも農民達の汗と涙、そして吏族によってトイレに入れなかった多くの住民の涙が隠されている事を。


  • IRCで吐いた妄言をとりあえず適当に書き散らしました。
    越前藩国採用携行兵器“鬼斬り”開発秘話です。 -- 赤い狐 (2007-03-15 01:41:57)
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