映画 『処刑人』 The Boondock Saints @ wiki

Greenly's Theory

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soi

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Deleted Scene: Greenly's Theory

"Greenly's Theory (グリーンリーの説)" は、最初の事件現場となったマクマナス兄弟の住居下の路地でグリーンリー刑事が同僚のドリー刑事とダフィー刑事に自説を展開する場面です。本編では別のカメラ・アングルで撮影されたショットも織り交ぜ、こちらの特典映像と比べて約1分ほど短く編集されています。また、本編ではオープニング・クレジットが明けた直後に置かれていますが、オリジナル・スクリプトによると、この直前にはマクマナス兄弟とアイルランドにいる母親との電話でのやりとり "Mom Calls from Ireland" が入る予定でした。



US版DVD特典 "Greenly's Theory" より


グリーンリー: [イワン・チェコフとウラジーの死体に目をやり] さてと……、こいつら二人はお互いメッタメッタにやり合ったんだ、いいか? こっちの男は誰かが捨てた古い台所の流し台を拾い上げ、それでこの男を叩き潰した、分かる? 大音響だ

[スメッカー: 署長と共にパトカーで現場に到着]

グリーンリー: けたたましい衝撃音で角にいた見張り役の男が気付き、こっちにやって来たんだが、奴はかんかんに怒っていた、どうだ?
ドリー    : そりゃやばいな!
グリーンリー: ちょっとした見解の相違で今にも喧嘩になりそうな雰囲気だ、『お前は俺を殺す気か、バカ野郎』と、な? で、二人は口論になり、見張り役の方の男が飛びかかり、こいつを押し潰した。 [ウラジーを
指さし]
ここの傷を見てみろ。つまり、こいつはハンバーガーの肉のようにミンチにされたって訳さ。ねじれて背骨が粉々に砕けてる。オマケでポテトでも追加してやりな、こいつのハッピーセット (注1) だ。『2ドル99セントです。このままドライブスルーをお通り下さい』ってな。 [自説を続けて] おいおい、なんてこったい、奴はドデカいクズ野郎だったに違いない。巨漢だ。俺の言ってること分かるか? 300ポンドか、もしかしたら400ポンドだ (注2)

ドリー    : かなり説得力に欠けるな
ダフィー   : そうだな
グリーンリー: これが事件の全貌のはずなんだがな……

[スメッカー: 署長がグリーンリーを制止しようとするのを止める]
[グリーンリー: スプレーを口の中に吹き掛け口臭チェック]
[スメッカー: それを見てクスクス笑う]

グリーンリー: よし、分かった、分かった。じゃあ、これならどうだ。こいつら二人はその巨漢男のことを知らなかったことにしよう。巨漢男って誰だ?俺は知らないぞ。こいつらだって知らないさ。聖パトリックの日の昨夜、二人はベロンベロンに酔っ払って、フラフラでバーから帰宅する途中だった。彼らはこの路地を通って近道をすることにした。彼らにとっちゃ見誤ったクソ路地さ。というのは、例の巨漢のクズ野郎が待ち伏せしていたからだ、分かるか?豪腕の強盗にとってこれ以上完璧な状況ってあるか?相手は包帯をぐるぐる巻きにした酔っ払い二人組だ。とんだことに、彼らは既に怪我をしていたんだ、見てみな。彼らは千鳥足で路地を歩いていた、『トゥ~ラル~ラル~ラ~』 (注3) ってな。そこへ例の男が鈍器を持って襲いかかった、『ワーッ!』とな。で、頭に包帯を巻いた方を殴った。それはなぜか? 奴は頭が良かったんだな

[署長: 呆れ果ててサングラスを取り目頭を押さえる]

グリーンリー: ケツに包帯を巻いた方はどこにも逃げられないと分かってたんだ。 [両腕を振りながら] どっこにも行けないのさ! [イワンに話し掛けるように] 『もしもし、どちらにお出かけですか? ―― どこにも行けねぇよ! (注4)[ウラジーを指さし] 実際、路地を歩く間、恐らくこっちの男は直腸に問題を抱えた相棒に手を貸していたんだろう。彼らは老いぼれババァのように二人でノロノロ歩いてたんだ。 [ウラジーを指さし] で、こっちの男が殺られると、 [次にイワンを指さし] この哀れなクソ野郎はすぐさま走って逃げようとした。ところがだ、こいつがどれだけ行けたか考えてみろ。巨漢野郎はすぐに追い付いて来た。ほんの数ヤードでだ。つまり、奴はクソ・ペイトリオッツ (注5) にいても値打ちがあるってことさ

[スメッカー: グリーンリーを見て再び笑う]

グリーンリー: こりゃ、凄い! 奴はそれからどうしたと思う?考えたもんだね。流し台を拾い上げてこの哀れなクソ野郎を叩き潰したんだ。それでもまだ奴は終わりにはしなかった。 [ウラジーの方に歩み寄り] こっちにやって来て、こいつの背中に飛び乗り、押し潰して殺したんだ。奴は彼らの所持品を盗り、ずらかった。『事実を明らかにしてくれてありがとう』ってよ。 [ウラジーを指さし] この足形を見てみな。この靴はドデカいぞ。考えてみろ、男を死ぬまで粉々に叩き潰すやり口ってものをよ。これは非常に特異なやり方だ。“特クソ異”(注6) だ! こんなのにはそうお目にかかれるもんじゃないぞ。よく分からないが……、何かここにとてつもないものを感じる。こんなことがもっと頻繁に起きてもおかしくないな……
スメッカー : 素晴らしい! さて、ここで巨漢男説と連続粉砕殺人魔説が出たな。最高の説だ


…………………………………


[注1] Happy Meal … マクドナルドの子供向けセット・メニュー
[注2] 約136kg ~ 181kg
[注3] アメリカのポピュラー・ミュージック作詞作曲家ジェームズ・ロイス・シャノン (James Royce Shannon) が1914年のミュージカル 『黒髪のジミー (Shameen Dhu) 』 のために書き下ろした 『アイルランドの子守歌 (Too-Ra-Loo-Ra-Loo-Ral ~ That's An Irish Lullaby) 』 の一節。有名どころのカバーでは、ビング・クロスビー (Bing Crosby) やザ・バンド (The Band) の解散コンサートを記録したアルバム/ドキュメンタリー映画 『ラスト・ワルツ (Last Waltz) 』 にヴァン・モリソン (Van Morrison) がゲスト出演して歌ったバージョン等がある。
[注4] No place! … 本編ではこの部分の音声が "Nowhere!" に差し替えられ、直後に "That's right!" 『その通りだ!』 という一言が挿入されている。
[注5] 地元マサチューセッツ州フォックスボロー市に本拠地を置くアメリカン・フットボールのプロ・チーム、『ニューイングランド・ペイトリオッツ (New England Patriots) 』 のこと。1960年設立。1970年までは 『ボストン・ペイトリオッツ』 という名称だった。
[注6] Particu-fuckin'-lar!



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