映画 『処刑人』 The Boondock Saints @ wiki

Audio Commentary Ch. 09 - 12

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Chapter 09: Kill 'em All



で、問題は何かって言うと、この映画の業界向けの試写をやったんだけど、その2週間前にコロンバイン事件があったってことなんだ。ちょうど大統領が暴力映画を厳しく追及するための司法委員会を組織していた時だった。『バスケットボール・ダイアリーズ』や『マトリックス』がニュースで毎日取り上げられていたのを見ただろ。だから、『処刑人』にはチャンスはなかったんだよ。文字通り、アメリカのスクリーンではブラックリスト入りにさせられたんだ。そういうことが起きて本当にガックリ来たな。それまで全て首尾よく進めて、こんなに素晴らしい時間を過ごし、みんなと知り合い、事を成し遂げ、自分たちのやって来たその事に対して誇りを抱いていた、そんな時だっていうのに。こんなんじゃ、「家に帰って、手首を切って、血管を突き刺し、飲んだくれて頭がおかしくなって死んじまえっ!」てな感じだよ。1,500マイルも離れた場所で起きた俺とは全く関わり合いのない出来事だからな。人生に物凄い影響を与える事件だったよ。実は、俺はコロラド州の学校に通っていたんだ [※]。そこに叔母がいるんだよ。今でも年に3~4回は行くんだ。あれは本当に恐ろしい身の毛もよだつような事件だったな。その上、俺はアメリカでの劇場公開のチャンスも失ってしまったんだ。

   ※訳注 … トロイはコロラド州立大学医学部進学課程中退。
         キャンパスのあるフォート・コリンズからコロンバイン高校のあるジェファーソン郡までは
         150kmほど。

でも、さっきも言ったように、この作品はビデオ化された。他の国では劇場公開されたし、DVDやビデオにもなって、HBO 風のペイ・チャンネルでも放送された。イギリスの B Sky B とかね。国外で命を得たんだよ。最後の最後に一番重要になった点は、人々がこれを見てくれたってことだと思う。彼らはどう感じたと思う? 『処刑人』に何が起きたかと言うと、俺が落ち込んでどん底にいるうちに、たちまちこれほどのカルト的成功を収めたんだ。俺はそれまでのことを全部上手くやってのけたんだ。俺が今までに本当の意味でやった唯一のこと、俺が監督した唯一の映画、俺が書いた唯一の脚本でね。それは全て何のためだったと思う? インターネットで話しかけられたり、若者みんなが至る所でこの映画のファンに出くわしたり、友達がみんな家に来ては、この映画についてバーでどういう話をしていたか教えてくれたり、そういう時は、ただただ本当に励まされるし、驚かされるね。映画が出て、人々に影響を与えたのを知ることが出来て、それに、彼らがどれほど反応してくれたのか見ることが出来て、本当に良かったなって感じだね。だから、この場を借りて、『処刑人』のファンのみんなに感謝したいと思うよ。どうかこのDVDを楽しんでくれよ。


ああ、このシーンね。俺は大の猫好きって訳じゃないんだ。猫を四匹飼っている女性と付き合っていたことがあるんだけど、もう気が狂いそうだったな。だから、これが劇中で唯一のシーンだな。俺自身の凄いわがままが出ているという意味でね。面白いよな、少なくとも俺にとってはだけど、俺のユーモアのセンスで人をうんざりさせるってのは。だけど……、さあ、来たぞ。ごめんよ、猫ちゃん! ごめんな! じゃあな! 俺は猫が大嫌いって訳じゃないし、猫が大人しい動物だって分かってるんだけどね。代わりに、神様が小動物を好きでいてくれますように! でも、同時に、それは俺自身にとっては個人的にフラストレーションの種なんだ。ひょっとしたら、ちょっとやり過ぎだったかもしれないな。気分を害した方、ごめんなさい! でも、あの最後のセリフは好きだね。ロッコが言う「死んだのか?」ってシーンの閉めのセリフ。猫の血飛沫が部屋中に飛び散ってるっていうのに、「死んだのか?」って。いいや、まだ何とか生きてるさ。

ロッコは、ショーンとノームとも最高の交友関係を築いたよ。映画では彼らが親友同士という設定だったから、俺は実生活でもそうであって欲しいと願っていたんだ。彼らがお互いに好意のようなものを抱き始めたら、俺がそれを劇中で映像として表現出来ればってね。そういうのを俺はモノに出来たかな? 実際、この三人はお互いにそっくりでね、いつも一緒に遊びに行っては、一杯引っかけて来るような間柄になったよ。一度こういうことがあったな。俺たちが泊まっていた場所の通りをちょっと行ったところにバーがあったんだ。ロッコがそこのウェイトレスのひとりに一目惚れしたんだけど、彼女はただ彼に対しては悪ふざけはお断りってな風に何もさせないようあしらっていた。俺たちはいつもそこに行ってたんだ。俺たちにとっては仕事が終わった後の行きつけのバーって感じだったな。ひと仕事終えたら、いつもそこに行ってたよ。みんな、そうだな、一度に15~20人くらいだったかな、 ロッコがこの娘のことを好きになったってみんな知ったんだよ。彼女の方は彼には気がなかったんだけどね。そうしたら、彼はとうとうこんなことを言ったよ、「俺は映画の撮影をしにここに来てるんだ。映画の主役なんだぜ。ウィレム・デフォーに敵対する役でさ」って。ウィレムが彼女の好きな俳優だってのが分かったんだけど、彼女は、「あっそう。この負け犬! こっから出てってよ!」みたいなことを言ってね。それで、俺たちはデフォーにそのことを話したんだ。それから、みんなでそのバーに行ってね。全員が中に入った時に、例の気の毒な彼女がキッチンから出て来たんだ。つまり、デフォーを目にするや、持っていたドリンクを全部落っことしそうになったんだよ。で、俺たちのテーブルに来たんだけど、手がもう震えててね。ペンとナプキンを差し出して彼にサインを頼んだんだ。ちょうどサインをしようとしたその時、彼はこう言ってさ、「もしロッコがOKって言うんだったらサインするよ」って。そしたら、ロッコは彼の方を向いて、「ああ、お先にどうぞ」って言ってね。まるでマフィアのドンか何かみたいだったよ。もう、俺たちはそれから何週間かそのことで死ぬほど笑い転げたな。

ショーンとノームと一緒に俺たちは……、ノームはいなかったかな。多分いたと思うんだけど……。まぁ、とにかく、俺たちは全員でペイントボールに行ったんだ。一度週末にみんなでペイントボールをしたんだよ。関係者全員でだったかな。で、俺とショーンが全体を仕切るような形になってね。俺たちがしてもおかしくないようなちょっとしたゲームはいつもどこかしらにあるんだよな。で、アザを作って、砂だらけでボロボロになりながら、一杯飲んで帰って来たよ。今までで一番の最高の時間を過ごしたな。彼は一緒に遊んで楽しめる凄く面白いヤツだね。彼には凄くホットなガールフレンドもいるんだ。とてもやきもち焼きで、この話を聞いてあわててたよ。彼は彼女とはこの映画で知り合ったんだ。素敵な彼女だよ。


今のシーンで、 "fuck" って単語が大体37回は出て来るんだけど、色んな人から散々非難されたよ。でもなぁ、俺の生まれ育ったところではこういう話し方をするんだよ。俺はニューイングランドの出身で、コネチカット州のハートフォード生まれなんだ。東海岸を北へ南へ行ったり来たりの暮らしだった。家族は初めとても貧しかったよ。そしたら、突然、親父にうまい話がいくつか舞い込んで来て、上流と中流の中間くらいの階級にまで昇りつめたんだ。これまでの人生、友達にもさせてたけど、俺たちはずっとひどい言葉遣いだったよ。俺がそうしてることに、おふくろは今でもあたふたしててね。おふくろは聖女なんだ。彼女はちょっとね……。まぁ、とにかく、こういう言葉遣いじゃなかったら、そうだな、見てる人は頭の中にクエスチョンマークを思い描いてただろうな、「このふたりは人を殺すくせに、聖歌隊の連中のような話し方をするのはなぜだ?」ってな。だから、彼らの言葉遣いには本物っぽさを加えたかったんだ。


これぞ完璧な正真正銘のロッコだ、ここの場面。彼は実生活で怒る時もこんな感じなんだ。よく慌てふためくんだよな。そうなった時は、本当に面白くてね。相手に向かって叫び出すんだよ。

映画学校みたいなところには学生が沢山いるんだけど、俺はこれまでに UCLA や USC やボストン大学で講演したことがあってね。で、彼らはみんな同じ疑問を持ってるみたいなんだ、「どうやるんですか?」、「業界に知り合いが必要なんですか?」って。この俺が生き証人だよ。知り合いなんて必要ないさ。俺の親友に、クリス・ブリンカーって言う奴がいてね。彼がこの映画をプロデュースしたんだけど、びっくりするくらい素晴らしい人物なんだよ。だけど、彼の職業は元々プロデューサーじゃなかったんだ。ある映画業界人のアシスタントだったんだよ。もちろん、彼も他の若いアシスタント連中と同じだった。つまり、自分の作品を作って、順調なスタートを切りたがっている連中さ。だけど、彼らにはパワーがないんだ。アシスタントの知り合いがいてもなぁ……、まぁ、バーテンダーの知り合いがいる方がマシだよな。少なくとも、タダでドリンクをおごってもらえるだろ。まぁ、だけど、CB とは何年か音信不通で、ある日、俺がバーテンダーをやっていたバーに彼がやって来たんだ。


おーっ、このショットは大好きだね。この場面をTシャツに載せるつもりだったんだ。このセリフも凄く気に入ってるよ。

ともかく、俺とクリスは……、俺と CB は、じっくり話をしたんだ。彼が「今は何をしてるんだい?」って訊いて来たから、俺は「この脚本を書いたんだ」って答えた。俺は彼が映画業界にいるってことすら知らなかったんだよ。今言ったように、アシスタントだからって訳じゃないんだけどね、彼は脚本を読んでくれたんだ。で、「これを人に渡してもいいかい?」って言うんだ。俺はこんな感じのことを言ったな、「えっ、何だって……、そうしたけりゃ勝手にしろよ」ってね。「俺には業界に知り合いなんていないしな」ってさ。




Chapter 10: Turkey Shoot



それで、彼は、草の根レベルで脚本を広めて回ろうとした。最初、俺は自分の脚本がハリウッドではクズ同然の他の脚本の中に埋もれてしまうんじゃないかって思ってたよ。今では俺も脚本を沢山読んで来たから知ってるけど、ハリウッドの連中は気の毒なことに、そういうのを次から次へと読みまくらないといけないんだ。でも、いくら読んでも、独自のものを持ったオリジナルな脚本なんて何ひとつ見つからないし、そういうのは瞬時に埋もれて行く。そういう中で『処刑人』はひときわ抜きん出ていたんだよ。その後は、ほとんどまるで一夜にして世界が変わるような出来事だったね。ほんの数日後、突然、ハリウッドのトップレベルの連中が俺のバーにやって来て、何百万ドルもの予算について話し始めたんだよ。俺にバドワイザー・ライトを注文しながらさ。彼らはこんな感じだったな、「やぁ、これを映画化するのに500万ドルではどうだい?」ってね。だから、俺は、「そうかい。とにかくこのバドワイザー・ライトに2ドル50セント払ってくれ」って言ってやったよ。とにかく、それくらい馬鹿げたことを言ってたね。これは、何もないゼロのクズ人間からヒーローになるようなもんで、突然、こういう連中がやって来るようになったんだ。それに、新聞社やエージェントなんかもね。これはね、さっき言ったみたいに、俺に業界の知り合いがいたからじゃなくて、いなかったからなんだ。CB がパワーのある奴だったんじゃなくて、ない奴だったからなんだ。ふたりが友達で、凄いことを一緒に成し遂げようとしていたからなんだよ。俺は彼に必要とする道具を与えた。彼にクリエイティヴな脚本を与えたんだ。そして、彼は俺に必要とする道具をくれた。然るべき人たちのいる空間に入れてくれたんだ。嘘をついたり、だましたり、盗んだり、目的を達成するためにありとあらゆる手段を使ってね。彼がそうしたのは、俺の脚本の価値を認めてくれていたからこそなんだよ。だから、映画会社の重役を知り合いに持つよりも、頭が良くて、自分のことを心から思ってくれる人を信頼するのが一番さ。それから、自分が愛する人、友達である人もね。


ここのバーのシーン、これには本当に腹が立ったな。ここは本当に格好いいカメラワークで撮影したのに。レイティングのせいでカットさせられたんだよ。この映画のバイオレンス・シーンはほとんど全部がお仕舞いさ。血飛沫や人が撃たれるショットのあるシーンはほとんど全てだ。MPAA が俺のところにやって来て、「これをカットしろ」って言いやがったんだ。だから、みんなが今見ているこのRレイテッド・バージョンのバイオレンス・シーンですら、俺が意図したものじゃないんだ。みんなに見て欲しいと思ってたものじゃないんだよ。俺は出来るだけのことはしたさ。MPAA に異議を唱えて調停委員会を呼んで、事を進めてってね。最悪だったな。みんな、ごめんな。完全にやられちまったよ。だから、カットするしかなかったんだ。そうしなかったら、誰もこの映画を観ることが出来なかったろうし……。

それから、ロッコについてだけど、彼はこんな奴でね……。彼がハリウッドに来たのが1979年かそこらだった。俳優になろうと、映画業界に入ろうと、死に物狂いで働いた。10年~15年くらいの間ね。そういう奴を何人も知ってるよ。天賦の才があるのにな。こいつを見てみろよ。彼にはこんなに才能があるだろ。ただチャンスがなかっただけなんだよ。今ではチャンスも手に入れて、どこへ行っても顔を見て気付いてもらえるようになった。ちょっとは胸を張って生きられるようになったんだ。こういうことは、俺にとって、この映画をやって手に入れたかけがえのない宝のひとつだね。彼みたいにその宝に値するような奴が、時間を掛けて自分の夢をやり遂げたってことがね。前にも言ったように、一時は諦めていた奴がだよ。彼は27年もそういう状況にいたんだ。最初の15年は死に物狂いで努力したけど、何も得られなかった。最後の10年~12年は、諦めてバーテンダーとして働いていた。それが、今ではこいつがこんなにカリスマ性を持っているのが俺には見て取れる。それに、こんなに素晴らしいものを内に秘めているのもね。俺たちがみんな一緒につるんで遊んでいる時に彼が言うくだらないジョークの数々は金では買えないほど面白いし、このチャンスを彼に与えることが出来て嬉しいよ。ロッコと俺は、この映画を誇りに感じながら観たんだ。俺たちふたりが初めて一緒にやったものだからな。彼は俺にとって一番大切な友達のひとりなんだよ。遊びに行く時はいつも一緒さ。


このマスクを見てくれ。ノームのセリフ、「『ファット・アルバート』のマッシュ・マウスみたいだな」 [※] ってのが何のことを言ってるのか分からないって人が沢山いるんだよな。みんなが『ファット・アルバート』を覚えてるかどうか分からないけど、この馬鹿っぽいマスクを被っている時のロッコはそいつにそっくりなんだ。

   [訳注] … 日本版字幕では「コメディアンだ」、同吹替では「そりゃ、おふくろの腹巻きかよ?」と
         なっているセリフ。
         ・『ファット・アルバート』とは、1970年代~80年代にかけて10年以上の長期に渡り放送
         されたアメリカのTVアニメ・シリーズ "Fat Albert and the Cosby Kids" のこと。
         エミー賞も受賞し、2004年には "Fat Albert (邦題『ふわっとアルバート』)" のタイ
         トルで実写映画も制作された。
         ・『マッシュ・マウス (Mush Mouth) 』は作品中のキャラクターのひとり。ところが、
         同アニメで目出し帽を被っていたのは『ダム・ドナルド (Dumb Donald) 』というキャ
         ラクターの方で、マッシュ・マウスもニット帽を被っていたことから、トロイが両者を
         混同したものと思われる。


これはアドリブだったんだよ [※]。撮影現場ではアドリブが何度も出て来たな。このふたりは俺の意図した兄弟の役そっくりに演じようとするあまり、逆に何かを捨てようとしていたんだ。最初、彼らはわざわざ訊きに来た時もあったんだけど、しばらくして、俺が「良いと思うんなら、やっちゃいなよ! 君たちはもうこれだけキャラクターにそっくりなんだから」みたいなことを言ってやった。監督ってのは、作品の世界観を独り占めし得るもんなんだ。それを引き出して観客に見せるのが俳優だ。彼らふたりは誰よりも兄弟のキャラクターそっくりに演じることが出来る。他の人がどう思おうが、何を思おうがね。なんたって、そのキャラクターを書いて監督したのは俺自身だからね。撮影現場で分かったことのひとつなんだけど、俺がどれだけ分かっているつもりでいても、どれだけの世界観をこの映画に対して持っていようとも、この役者たち、とりわけ、四人の主役、つまり、ロッコ、ウィレム、ショーン、ノームは、とにかく俺の思い描いていたキャラクターそっくりに演じきって、その上、俺自身が思ってもみなかったこと、台本にも書いていなかったことを引っ張り出して来る力量のある連中だったんだ。どんな取るに足らない瞬間でも、彼らはかけがえのない完璧な存在だったよ。

   [訳注] … コナーのセリフ "You look fuckin' scary, man!" 「(マスクを被ると)お前はすんげー
         恐えーよ!」のこと。日本版字幕では「ヒヤヒヤさせるな」、同吹替では「滅茶苦茶
         迫力あるよ」となっている部分。


ここでは、今やウィレムがだんだんと兄弟に近付いて来ている。現在と過去のシーンを交互に織り交ぜて、何が起きたのかを見せるところだ。だから、捜査過程のウィレムはそんなに出て来ないんだ。彼がだんだん近付いて来たところで、現在のシーンに交互に織り交ぜる形で回想シーンの挿入を始める。これは、ストーリーの流れを良くするためとか、核心部分を伝えるのに役立たせるとか、そういう映画上の効果を狙っただけのものじゃないんだ。


ここのショットは凄く好きだな。まただけど、このウィレムがボアをいじくり回しているシーン、これも彼のアイディアなんだ。




Chapter 11: Cowboy


これは、恐らく一個の乳房としては今までに上映されたものの中で一番デカいんじゃないかな。横幅25フィートくらいある映画館で見たんだけど、そりゃあ、もうデカ乳だね。ここでロッコがそれを掴むんだ、ほら。この部分はこの映画の中でも面白いショットだと思ったね。でも、「彼女にチップをあげるんだ」ってセリフをみんな聞きそびれてるんだよな。みんな彼が胸を掴んでる場面に見とれて笑ってるもんだから、「彼女にチップをあげるんだ」って言ってるのを聞き逃しちゃってるんだ。


さてと、だんだんとウィレムがここを仕切るような感じになって来たな。少し調子に乗って、言動もちょっと大胆になって来た。彼はこの刑事たちのことを以前よりも理解しているからね。刑事たちの方も彼の人となりをより理解し始めた。彼のことを気に入り出した。つまり、劇中では虐げられてタブーとされる物事の数々をどうでもいい取るに足らないこととして無視することが出来るようになって来たんだ。これは、俺が一番胸を張って言える最も重要なことのひとつだね。ウィレムがホモセクシュアルだというのがどうでもいい取るに足らないことになるってのがね。観ている方の俺たちも彼のことを理解するようになるし、彼のキャラクターに愛着を持つようになるんだ。ボストン警察の連中も同じさ。俺たちもこういう風になるのを、つまり、こういう好ましからざる点がどうでもいい取るに足らないことへと変わって行くのを目にする。彼らが口にする人種差別的なユーモアも、その使い方は、俺から見れば、そういう好ましくない点をどうでもいい些細なことにしてしまうんだよ。こうすることで、何が本当に重要なのか、何が本当は問題なのかが見えて来るんだ。

そう言えば、地元誌……、ロサンゼルス地域の三流誌である記事を読んだんだ。この手の雑誌があれこれとうるさく書き立てていたな。ホモセクシュアルの人は、どの映画でもステレオタイプな役で『チューリップ畑を爪先立ちで忍び歩きするナヨナヨした妖精ちゃん』として描かれることにうんざりしているってね。それで、ある若い男について本当に奇妙な体験をしたんだけど……、彼は俺たち全員の共通の友達で、俺たちの方は彼がゲイだってことを何となく知ってはいたんだけど、彼自身はそれについて一度も口にしたことはなかったんだ。ところが、彼がこの映画を観て、まさに俺の目のまん前でカミングアウトしたんだよ。強くて自信に溢れていて、この映画のこういう側面をここまで公正に描き出すゲイのキャラクターを書いてくれてありがとうって感謝された。それから、言ってみれば、彼は泣き出すような感じになったね。俺はこう思ったな、「わぁ、これがこの映画のパワーなのか。何だか戸惑っちまうな」って。こうなったのも、これが最後の封建制度の下で作られた作品だからじゃないかな。司令官として兵隊を率いて出撃し、目的を達成するっていう感じが本当にするね。そうすれば、仕舞いには、映画学校の学生たちがみんな、「こんなアーティスティックな作品をどうやって作ったんですか?」って聞いて来るよ。ところが、今は撮影現場でアスコット・スカーフをしてベレー帽を被りながら、「才能を開花させよ!」なんて歌を口ずさむような時代じゃない [※]。少なくとも、俺たちのやり方はそうじゃないんだ。

   ※訳注 … ascot (アスコット・スカーフ) と beret (ベレー帽) は往年の映画監督に対するステレオタイプな
         イメージ。"Let the genius begin (才能を開花させよ)" という部分は、トロイが実際に歌ってい
         ますが、何の引用かは不明です。

初作品を監督して、その後、どんな種類の成功であれ……、『処刑人』の場合はカルト的な成功だとしてもだよ……、成功を手にした今の若い監督のやり方ってのは、どちらかと言うと、俺のやり方と一緒だね。予算がどれくらいあるのか、時間がどれくらい与えられているのか分かっているんだ。可能な限り最高の作品をモノにしなきゃいけないのも分かっている。一度に2~3テイクだけで終わらせる映画もそこには沢山あった訳だけど、実際、俺たちには、5~10テイクもやってる時間なんて全くなかったよ。一度、一日にセットアップ [※1] を35回もやらなきゃいけなかった時もあったな。つまり、「カット!」って叫んで、そのテイクが良ければ、その度に、ライトを変えて、カメラにフィルムを追加し、新たに役者を配置するといった具合さ。35回って数字は、ほとんどTVドラマの撮影と同じ回転の速さなんだよ。でも、俺たちはやってのけた。その日を完璧にやり通したね。それが出来るのは、さっきも言ったように、このような封建的な体制になると、全員が信念を持ち始めるからなんだ。全員がその日に撮ったラッシュを見るようになるんだよ。俺の場合、毎週金曜日にひと仕事終わってからやっていたんだけど、ワインとチーズと大画面のテレビを用意して、キャストとスタッフ全員に全部のラッシュを見せていたんだ。彼らは、自分たちが目にしている映像にとても誇りを感じて喜んでいたし、それに自分たちがやっていることにエキサイトしていたよ。次からは、超過勤務でもう一踏ん張りやってくれるよう頼んだ時も、反対の声すら出なかったね。俺には、「力を貸すぜ。心配すんなよ」って言ってくれる連中がいたんだ。これがプロデューサーだったら、こんなことを言うんだろうな、「おい、何てこった! そんなのに出せるカネなんてないんだ! ミール・ペナルティ [※2] を支払わうことになるんだぞ! これとそれとあれもやらなきゃいけないし、まいった! まいった! まいったぞ!」ってね。ところが、部署全体を統括する奴が俺のところにやって来て言ってくれるのは、「心配すんなよ。トロイの責任はこっちが引き受けるぜ。俺たちは自分たちのやってることを気に入ってるんだから。俺たちがサポートするぜ」ってことさ。この手のことは、こんにち若手監督が経験していることだと思うよ。シューティング・グラス [※3] にスカーフなんかじゃなくてね。

   ※訳注1 … setup。映画撮影用語。撮影がカメラ・アングルやライトの位置などについてある同一条件下
         で進められる際の単位。
   ※訳注2 … meal penalty。撮影時間が超過し、既定の食事時刻にずれこんだ場合、制作サイドが俳優
         らに対して食事代わりに支払う特別手当のこと。
   ※訳注3 … shooting glasses。現代では shooting glasses というと射撃用のゴーグルまたはサングラ
         スのことですが、トロイは最近のインディー映画の若手監督と往年の映画監督を対比させてい
         るので、ここでは、かつて使われていた何らかの撮影用の道具のことでしょうか?


ここは、ウィレムにとっては撮影現場での初日だったな。本当は映画のシーンの流れの通りに撮影している訳じゃないからね。とてもやるせない雰囲気なのに気付くと思うけど……。


前に言ったように、ここで彼が鼻糞をほじっているよな。フェリー氏ったら、この映画の中ではまったく下品な奴なんだ。ここでもちょっとはね。ともかく、ここは彼らが一堂に会した最初のシーンの一部なんだ。これのラッシュを見た時、俺は凄く嬉しかったな。彼ら四人が一緒の初めてのシーンだからね。三人がこの男に初めて会った例の路地からの流れが自然に見えるだろ。全員ヨレヨレで、疲れ切ってる。三人とも彼と言葉を交わしている。


それから、バシッと顔を引っぱたく訳だけど、大したリアクションはない。彼らは今ではお互いを理解していて、事件にますます没頭しているという設定だからね。だけど、本当は、この三人の心臓は、この時点で、時速1万マイルのスピードでドキドキと鼓動しているね。何たって、彼らと一緒にいるのは、『プラトーン』のエライアスなんだぜ。彼らが眼差しを向けているのは、『ワイルド・アット・ハート』のボビー・ペルーだ。彼らは、ウィレムが演じた素晴らしい役の数々を重ね合わせながら、一番のお気に入りの役者のひとりと一緒のシーンに出ているということを自覚しているよ。


あー、ここの彼、名前はカーマイン・ディスティファーノ [※1] っていうんだ。彼は本当に目が不自由なんだ。ちょうど俺の脚本が話題になった頃、色々と取引を持ち掛けられるようになってね。みんな脚本を欲しがってたからさ。ある日、その時はもう働いてなかったけど、例のバーに来るように言われて、一杯飲むために行ったんだよ。そうしたら、俺の弟にこう言われたんだ、「盲目の人が座ってあんたを待ってるよ。あそこを見てみな。ほら、あの人」って。すると、その彼は、「おお、ダフィー君。君はアイルランド系で、私はイタリア系だ。君がこの件を上手い具合に進めて行ったという話は知ってるよ。どうだい、私の息子を君の映画に出してはくれないか」って言うんだ。で、彼は息子の写真を俺にくれて、俺は出演を承諾した。だけど、あいにく俺たちはこの映画をトロントで撮影してたから、彼の息子を出演させることは出来なくなったんだ [※2]。でも、ボストンでの撮影パートには出そうと思ったよ。数日後にボストンで空撮をすることになっていたからね。

   ※訳注1 … Carmine DiStifano。トロイはここだけではなく日本版DVDのコメンタリーでも、『カーマイン
         (Carmine) 』と言っていますが、エンド・クレジットやその他の資料では、『カーメン (Carmen) 』
         となっています。
   ※訳注2 … 日本版DVDのコメンタリーでは、アメリカ・カナダ合作映画であるため、アメリカ人俳優を多く
         起用することが出来なかったという趣旨のことを述べています。


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これ、ここの刑務所のシーン、これはボストンだったんだ。チャールズ・ストリート・プリズンの内部ということでは最後の撮影だったんだ。素晴らしい部屋だったね。




Chapter 12 The Duke



ともかく、カーマインが息子について話をしに来たんで、俺は脚本に立ち返ったんだ。彼にはそれぐらいのカリスマ性があったからね。自分の子供のために何かをしてあげようという感じの良い老人だよ。で、俺はこのキャラクターを目の不自由な人物として描いて、彼を脚本に書き加えたんだ。彼をキャスティング出来ればと、わずかな望みを抱いてね。そして、最後の最後に、トロントの……、確か IATSE [※] だったと思うけど、そこが許可してくれて、彼は LA から飛行機に乗り、この役を演じるのが出来ることになったんだ。彼は凄く本物っぽくてね。つまり、彼の顔は頬が垂れて良い具合に古びたサドルバッグみたいに見えるし、そうだな、マフィアがやる唸るような声質を持っているだろ。ともかく、彼を起用して上手く行ったよ。そういう訳で、脚本を一旦書き終わった後でも、それでもまだ加筆したり、役者と会ったりすることもあるんだ。こういうのは、みんな実生活の中から出て来るものなんだ。何かとてつもないミステリーって訳じゃなくてね。「あれやこれについて、君の場合、何をどう考えて実行するんだ?」って訊かれるけど、そんなこと俺にも分からないよ。俺はただ実行しただけ、ただ思い付いただけさ。俺はこの彼に会って、気に入ったっていう、ただそれだけのことさ。彼にはとても琴線に触れるものがあったんだ。自分の息子のために何かをしてあげようとしててね。それについては、当の息子を出演させることが出来なくなって凄く焦ったね。でも、次回作には出すさ。そういう訳で、彼を脚本に書き加えたんだけど、彼自身は役者じゃないんだ。それまで演技をしたことなんて一度もなかったんだよ。この映画以降、何本かに出たけどね。けど、彼は……、さぁね。ただフィットしたってことだね。だから、好きなようにどうとでも取ってくれよ。

   ※訳注 … The International Alliance of Theatrical Stage Employes, Moving Picture Technicians,
         Artists and Allied Crafts of the United States, Its Territories and Canada。
         アメリカ~カナダにおけるショービジネス界労働者の団体。


ビリーのこの鳥かごのシーン……、彼こそが究極のワイルドでイカした奴だな。この表情が大好きだ。バーン、ここだ。この 6570534 ってのは、この当時の俺の電話番号なんだよ。俺がこの映画を観る時のためにやった個人的なジョークってだけなんだけどね。

ビリーに初めて会った時のことを覚えてるけど、もう最高の奴だね。彼の演技に関する役者としてのポテンシャルは、俺からすると、まだ未知数だったな。で、彼は、「ダフ、私は悪役をやりたいな」って、そんなことを言ったんだよ。「悪役をやりたい。もう善人でいるのには飽き飽きしたよ」ってね。『ヘッド・オブ・ザ・クラス』 [※] とかそういうのに出演していたのにだよ。こんなコミカルなキャラクターの数々を演じていたのに。俺は、「ああ、畜生!」って言ったね。俺はこの男を君たちのために用意したんだよ。彼は最後の15分で登場して、みんなをやり込めるんだ。それで、俺が彼を口説いたんだ。どういう風に撮影する予定なのかとか、衣装や銃器についてアイディアを出してね。これから出て来るけど、俺が凄く自慢出来るもの、つまり、銃器と衣装、両方のコンビネーションについてね。それで、ビリーは、「よし、この話に乗るよ!」ってなことを言って、すぐその場のテーブルの席からエージェントに電話を掛けたんだ。「これで小銭が稼げるよ」って言ってたな。でも、俺がやってるのは映画なんだ。それを実現させるんだよ。ともかく、彼は話に乗ってくれた役者のひとりだったよ。

   ※訳注 … Head of the Class。80年代後半に放映されたアメリカの学園コメディー・ドラマ。

それから、いざ撮影となった時、住宅街にいた時のことだったな。これから出て来るけど、住宅街で撮影したんだ。で、ふと見渡すと、ビリーが百人くらいを相手にコメディーをやっていたんだよ。母親、父親、子供たち、みんなに。みんなを笑わせていたね。俺は彼のシーンを撮影するのに、彼を引っ張って観客から引き離さなきゃならなかったよ。凄く面白かったね。知っておいて欲しい例のひとつだけど、一発景気付けが必要だって時はいつもこんな感じだったな。ビリーは突然そんな調子になっていたし、ウィレムは撮影初日、ロッコはと言えば……、この日はロッコが死ぬ日だったんだ。彼は映画の中で死ぬのを楽しみにしていたよ。彼にとっては大事なシーンだったね。


この一連のシーンは……、ここから始まる。この映画の中で間違いなく俺が気に入ってる部分だね。俺が一番自慢出来る部分だ。ここから、ビリーと兄弟たちの路上での銃撃戦までね。このシーン全体は、あらかじめこういう風に書いたんだ。スメッカーというキャラクター、つまりウィレムが彼らと一緒になってシーンを歩いて行く。彼らが次に取る行動を指図しているみたいだな。『トワイライト・ゾーン』でロッド・サーリング [※] がやったような演出だ。ここも別々に撮ったものなんだ。全て同日中の出来事のように撮影したけど、実はごちゃまぜなんだよ。編集して繋ぎ合わせるまでは、どれだけの物が出来るかなんて分からない。最後に思った通りに編集出来た時には、その仕上り具合に喜んだね。ここで、また別の音楽ネタだ。彼らが部屋に突入する時に音楽がかかる。

   ※訳注 … Rod Serling。
         TVシリーズ "The Twilight Zone (トワイライト・ゾーン/ミステリー・ゾーン)" の制作・
         脚本・ナレーションを担当した人物。


そろそろだ。そら、バーン。ここでこのロック・チューンを流した。当初使っていたのは、ドアーズの『ファイヴ・トゥ・ワン』だったんだ。でも、またまた、1,700万ドルさ。ドアーズの『ファイヴ・トゥ・ワン』は使えない。で、面白いことになったんだ。このシーンが全部終わって、曲が終わると……、『ファイヴ・トゥ・ワン』を使ってた訳だけど、編集が終わって『ファイヴ・トゥ・ワン』を置いたら、このシーンとちょうど同じ長さだったんだよ。俺たちは、「なるべくしてなったな」って思ったよ。けど、まぁ、音楽ってのはとてもカネがかかるもんなんだ。


この電話のところにいるのは……、彼は俺たちの制作総指揮、ドン・カーモディーなんだ。もしトロントで映画を撮影することになったら、今では沢山の人がやってるけど……、ドン・カーモディーを使いなよ。じゃなきゃ、後々困るぜ。彼こそが飛び切り最高の人物だ。この街全体に鉄条網を張り巡らしてるんだから。


これがロッコがデフォーと本当に一緒に写っている唯一のシーンだな。あんなマスクを被ってるけどね。彼はちょっと焦ってたな。こんなことを言ってたよ、「ちょっとの間、マスクを取っても良いかな? だったら、おふくろが俺だと気付くだろうからさ。マスクの下には俺がいるって彼女も分かるだろ?」ってね。


そう、こいつはみんながイメージする典型的な清掃係 [※] だな。

   ※訳注 … cleaner。隣の部屋で銃撃の最中にも関わらず、きれいにタオルを折り畳んでいる行為を指し
         てこう述べているものと思われますが、スラングで「殺し屋」という意味もあります。

ここでのシーンの流れは凄く気に入ってるよ。デフォーが何か言う度に、彼らが反応する。彼が何が起きたのか説明する度に、彼らはその行動を見せる。こんな風にみんな一緒になって進む流れが大好きだな。イカレた出来事については特にね。ロッコがこいつに攻撃されるけど、最後にはビリヤードの球で殺すんだ。キュー・ボールみたいなやつでね。ウィレムがシーンを歩いている時に、彼が予想出来ず、実際に真相を言い当てられなかったこと……、彼のキャラクターは本当に真相を言い当てられなかった訳だけど、これはみんなにも言い当てることの出来ないことだろうね。


ここでの彼の推理は間違っている [※]。

   ※訳注 … "One of these guys is a real sicko. He knew this man. He wanted him to suffer. (=
         彼らのひとりは本当の精神異常者だ。この男の知り合いだった。こいつを苦しめてやりた
         かったんだ)" のセリフ。
         日本語字幕では「犯人の1人は、その男に恨みがあった」、吹替では「犯人のひとりは恨み
         があった。その男を苦しめてやりたかったんだ」となっている部分。


ほら、彼が「オーライ」って言ってる。「この男は精神異常者で、彼を苦しめてやりたかったんだ [※]」 だけど、当のロッコは命乞いをしているんだよな。

   ※訳注 … This guy was a sicko, and he wanted him to suffer.
         これは直前でスメッカーが言っているセリフを引用しているものと思われます。


これがクリス・ブリンカーだ。こいつの顔を覚えておいてくれよ。ここでショーン・パトリック・フラナリーにたった今撃たれた奴。彼がこの映画をプロデュースしたんだ。俺の親友だよ。彼と俺はフィフティ・フィフティのパートナーなんだ。俺はこの映画を観る度に、彼のしてくれたあらゆる事を今後も思い出すだろうね。それに、自分を信頼してくれる人、自分を陰で支えてくれる人、そして自分の力を信じてくれる人がいるってことが、ハリウッドで影響力のある人たちを知り合いに持つよりも、どれほど良いかってこともね。


いよいよ彼の出番だ。これが例のシーンだな。身なりがとことん乱れてる。万策尽きて、ひっきりなしにタバコを吸い続けてる。髪はボサボサ、シャツもヨレヨレ、体中汗だらけだ。ここが、言ってみれば、彼のキャラクターの終着点だな。もちろん、彼は戻って来るよ。イカレ具合が倍になってね。




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